全額控除になる国民年金の追納制度
個人事業主は国民年金(第1号被保険者)に加入しますが、過去に未納期間や免除期間があれば、所得の多い年にまとめて払っておくことをおすすめします。保険料の全額が所得控除の対象となるため、所得税や住民税などの節税効果が期待できます。
加えて、将来もらえる年金額が増えるメリットもあります。
追納と後納、前納、付加年金の違い
■追納制度
これまでに「免除」や「猶予」を申請して承認された期間がある場合には「過去10年分」まで遡って納付することができます。保険料の全額免除や半額免除、あるいは4分の1や4分の3免除、もしくは学生納付特例制度による猶予を受けていた方については、追納することで将来もらえる年金額を増やすことができます。
この追納の可能額については、年金事務所に聞くか「ねんきんネット」で確認することができます。
一方、単純に納めていないだけの「未納」については納付期限から「過去2年分」までしか納めることができません。納付が困難になった場合には放置せず、必ず免除などの手続きを取るようにしましょう。
■後納制度(※平成30年9月30日で終了しました)
通常、未納期間について納付できるのは「過去2年間」となっていますが、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、納付期間を5年に延長する「5年後納制度」の特例措置が設けられています。
(※過去10年分の「10年後納制度」は平成27年9月30日にて、過去5年分の「5年後納制度」は平成30年9月30日にて終了となりました。)
■前納制度
年金保険料を一括で前払いすることにより、割引を受けることができます。また、払った年に一括で全額控除を受けることができます。
例えば、2年前納する場合、「377,310円(割引額15,690円):平成28年度」をその年に一括で全額控除できます。もしくは、各年分にわけてそれぞれ控除することもできます。
→ 2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について
この保険料の一括での振替は4月末(平成28年度は5月2日)ですが、あらかじめ申込みをしておく必要があるため、2月頃から対応しておくとよいでしょう。
年初の時点でその年の所得の予測は難しいと思いますので、とりあえずは一括で2年分を支払っておき、年末になった時点で、所得が多いようだと2年分を一括控除し、少なかった場合には各年度で割り振るとよいかもしれません。
■付加年金
こちらは任意ですが、月額400円をプラスして納めると老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。
また、「国民年金」は強制的な加入義務のある公的年金ですが、任意加入の「国民年金基金」も利用することで将来にもらえる年金額を増やすこともできます。