個人事業用ホームページの開設方法
個人事業用の公式ホームページを作成しておけば、お客様や取引先に事業実態を確認してもらいやすくなるメリットがあります。特に実店舗のないネットビジネスの場合、ホームページしか確認する方法がないため、できるだけ公式サイトを作成しておくとよいでしょう。
また、個人事業用のビジネス口座を開設する際にも、銀行側が事業実態を把握しやすくなるため、審査がスムーズに通過する傾向があります。
このホームページ作成にかかる費用はまちまちですが、単に事業内容の概要を公開するだけのシンプルな内容でしたら費用をかけずに自分で作ることもできます。
個人事業用ホームページを作成する際のポイント
個人事業の場合は以下の内容で公開しておくとよいでしょう。
- 独自ドメインでサイトを公開(www.付き)
- 事業内容を説明するページの作成
- 連絡先や所在地などのページの作成
- 個人事業主の氏名や開業年月日
- お問合せフォーム
- HTTPS対応
■独自ドメイン取得の意味
ポイントは「ドメイン」を自分で取得する点にあります。無料ホームページの場合は運営会社の都合で閉鎖になる可能性があるため、自分のビジネスが他社の経営状態に左右されてしまうことにもなりかねません。
例えば、無料ホームページサービスで商品を販売してようやく軌道に乗りかけた時、運営元が「ホームページサービスを終了します。」となれば、それまでの努力が無駄になってしまいます。
また、名刺などの連絡先にフリーメールを使用している場合は信頼性が低下するため、自分で取得したドメインでメールアドレスを使用するのが一般的です。
そのような理由で、無料レンタルでドメインを借りるのではなく、自分でドメインを取得してホームページを作成することをおすすめします。費用はそれほど高いものではなく、ドメインの取得は年間1,000円程度で済みますし、サーバーを借りる費用も年間数千円程度で済ませることが出来ます。
個人事業に最適なドメインの種類
ドメインの種類には「.com」や「.net」、あるいは「.org」などがありますが、「org」については非営利団体の意味合いがあるため、できるだけ「.com」や「.net」を使用するとよいでしょう。商用サイトの場合は「.net」よりも、「.com」や「.jp」ドメインを利用するのが一般的です。
信頼性の面では「.co.jp」ドメインが抜群ではありますが、こちらは法人組織でしか取得できない企業向けのドメインになるため、個人事業では取得することができません。
このドメイン名の文字列には日本語ドメインなどもありますが、できるだけ「ローマ字」で「ハイフンのない」シンプルな文字列で取得されることをおすすめします。日本語ドメインはメールを利用する際に難が出てくるため、ローマ字でドメイン名を取得されるとよいでしょう。
例えば、屋号がソニーならsony.comなど、屋号と関連性のある文字列でシンプルに取得し、個人事業名とは無関係な文字列で取得するのは避けることをおすすめします。
■取得したドメインでメールアドレスを作成
名刺などに記載する連絡先のメールアドレスについては、取得した独自ドメインを使用して作成することをおすすめします。
例えば、example.comのドメインを取得した場合、info@example.comのようなメールアドレスを設定します。
このドメインの所有者はwhois情報で確認できるため、匿名性の高い無料メールアドレスとは違い、身元の確認ができるメールアドレスなので信頼性が高まります。このドメインの取得方法についてはこちらのページをご参照ください。
ドメインを取得したあとはレンタルサーバーを契約し、そちらへ設定してホームページファイルを作成していくとよいでしょう。
具体的な作成手順についてはここでは省略させて頂きますが、数ページ程度のサイトなら、書籍を1冊購入してそれを見ながら作成すれば、比較的簡単に作成できるはずです。ウェブデザインやコンテンツの修正などはあとからいくらでも修正が可能ですが、ドメインは一度取得したらずっと使っていくことになるため、慎重に選ぶことをおすすめします。
業種によるホームページ作成方法の違い
飲食店や美容室、歯科、英語教室、あるいはネットショップなど様々な個人事業の業種がありますが、ホームページの用途にも違いがあります。
■簡単なホームページでもよい業種
サイトの訪問者に一方的に情報を伝えるだけでよい場合、簡単なホームページでも十分かと思います。お客様からの問い合わせに電話やメールで対応するのであれば、双方向的なやり取りが必要になる動的なホームページは必要ありません。
・飲食店や美容室など
→ お店の場所やメニュー、料金、あるいは予約する際の電話番号の掲載が主な目的になりますが、外出先からチェックされることも多いため、スマホなどのモバイルにも対応しておくことをおすすめします。
・歯科やマッサージ店など
→ 治療方針の紹介や地図、診療時間の確認などがメインになるかと思いますが、薬機法などの法律の関係でコンテンツの作成に注意が必要かもしれません。
上記のような業種のホームページを自分で簡単に作成できる人気のサービスには「グーペ」があります。個人事業用のテンプレートが多数用意されているため、お店の画像やコンテンツを自分で用意すれば、簡単に作成することができます。
→ グーペ
こちらのグーペは自分でも簡単に作成できて便利ではありますが、独自ドメインの移転の際には多少の制限があるため、ドメインについては別途に取得した方がよいかもしれません。
あるいは「ジンドゥー」も便利かと思います。
→ ジンドゥー
ゼロから全て自分で作成する場合、「サーバー契約」や「ドメインの取得」、「作成ソフト」、「テンプレート」、「画像や文言」などを用意する必要がありますが、上記のようなサービスを利用する場合は運営側で用意されているものを借りて作成することができます。
この場合でも、独自ドメインについては自分で用意された方がよいでしょう。
あるいは、ホームページ制作業者を探す場合、ゼヒトモなどを利用して制作業者を探すこともできます。
→ ゼヒトモ
■複雑なホームページが必要な業種
・ネットショップ
→ ネットショップの場合、ショッピングカートや在庫管理のシステム、あるいは決済手段の確保でかなり複雑になります。一方的な情報の伝達だけでなく、カートへの追加に応じて合計金額を表示するなど、ユーザーのアクションに応じて双方向的に情報をやりとりする必要があり、このような場合にはプログラムが必要になります。
自前でホームページを管理するのは難易度が高いため、楽天やアマゾン、あるいはヤフーショッピングなどの大手ショッピングモール出店も検討されてみることをおすすめします。(詳細:ネットショップの開業方法)
・スナックや風俗産業
→ 一般的な業種とは違い、成人向けの場合はサーバーの契約自体が不可となっているケースが多く、自前でのホームページ運営は非常に難易度が高いです。出勤状況や日記ツールなども必要になるため、専門の大手情報サイトへの出店も検討されてみるとよいでしょう。
事業主の個人情報の公開範囲
ホームページ上で事業概要を公開する際、個人情報を公開すればするほど信頼性が高くなります。
一方で、同性同名の人が事件をおこした際など、万一のドラブルがあった際、誹謗・中傷などのリスクを抱えることにもなりかねません。思わぬトラブルになるケースがネット上で多発してますので、不必要な個人情報の公開は可能な限り避けることをおすすめします。
最低限、特定商取引に関する事業主の氏名や事業所の所在地、電話番号、あるいは連絡先までに留めておくとよいでしょう。もし自宅兼オフィスで事業概要だけを公開する場合、「東京都港区」などのように、市区町村までの公開までで止めておくのもよいかと思われます。
取得したドメインのwhois情報についても代理公開をすることで匿名で公開することができます。
また、可能な限りプライバシーを保持したい場合、個人情報の箇所を文字ではなく、画像で作成しておくと文字の検索ではヒットしなくなりますので、そのような対応をするのもよいでしょう。