法人で納める税金の種類
法人で納める税金の種類は無数にあり、事業規模や固定資産の有無などによって違ってきますが、大きくわけると次の4種類になります。
・法人税
・法人住民税(法人市民税、都道府県民税)
・法人事業税
・消費税(課税売上1,000万円以下は免除)
(※資本金や事業規模によって異なります。)
これは個人事業で納める税金とよく似ています。
・所得税
・住民税
・個人事業税
・消費税
法人の場合は「法人税法」、個人事業の場合は「所得税法」による違いはあるものの、納める税金の種類に大きな違いはありません。
一般的に「法人税」といった場合、上記の「法人住民税」や「法人事業税」は含みませんが、4つ全てをひっくるめて「法人税」という言い方をする人もいます。一方、「法人税等(ほうじんぜいとう)」といった場合には、法人税に加え、住民税や事業税も含めた意味になります。
消費税については、納税義務者である消費者からの預り金になりますので、厳密にいえば、法人が納める税金ではありませんが、一般的には上記の4種類が法人が納める税金と考えておくとよいでしょう。
・復興特別法人税の廃止について
復興特別法人税はすでに廃止されており、課税される事業年度は「平成26年3月31日までに開始する事業年度まで」となってます。26年4月1日以降に開始する事業年度については納税する必要はなくなりました。
地方法人税と地方法人特別税の違い
地方なんとか税に「地方法人税(国税)」と「地方法人特別税(国税)」とがあり、このふたつは非常にわかりにくい税目ですが、以下のような違いがあります。
<地方法人税>
「地方法人税」は法人税とともに申告するものの、納付する際は納付書がそれぞれ別になっています。別表一(一)に「次葉」がありますので、そちらで計算するとよいでしょう。
<地方法人特別税>
「地方法人特別税」は都道府県に対して申告、納税しますが、こちらも国税扱いとなっており、都道府県経由で国に払い込みます。こちらは2017年度に廃止が予定されていましたが、消費税増税の延期の影響により、廃止は平成31年あたりまで延期される予定です。
(※平成28年8月24日の閣議決定を参照)
両者の違いについてですが、「地方法人税」は損金不算入であるものの、「地方法人特別税」は損金に算入できる違いがあります。「地方法人特別税」は事業税ではないものの、事業税的な扱いになっており、損金に算入できる点に注意しましょう。
細かく見れば、国税、地方税などの意味的な違いはありますが、納税者にとってみれば、以下の4枚の納付書に書き込んで納税すると考えておけばよいでしょう。
・法人税(2枚) ┳ 法人税
┗ 地方法人税
・法人市民税(1枚) ┳ 法人税割
┗ 均等割
・法人県民税(1枚) ┳ 法人税割
┣ 均等割
┣ 法人事業税(損金算入)
┗ 地方法人特別税(損金算入)
・消費税(課税売上1,000万円以下は免除)
赤字の場合でも法人市民税と県民税の「均等割」の部分で年間7万円は税金が発生します。また、消費税については納税義務者である消費者からの預かり金ですので、会社が赤字であろうと課税対象となっている場合には納税する義務が発生します。
法人であるだけでかかってくる税金がありますので注意しておきましょう。
代理徴収した預かり金の申告と納税
個人事業と法人で違う点でいえば、上記の法人税等に加え、従業員個人の税金も代理徴収して納めなくてはいけない点にあります。所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収、あるいは社会保険料などの天引き分も会社側で申告して納税する作業が発生します。
社会保険については会社負担分があるものの、源泉所得税や住民税の特別徴収については、基本的には従業員個人から一時的に預かったお金になりますので、これらは法人が納める税金というわけではありません。
・法人が納める税金(法人税や法人住民税、事業税など)
・代理で徴収した税金(従業員の所得税や住民税などの預り金)
具体的には年末の法定調書の作成による申告や源泉徴収税の納付などになりますが、年末調整などで計算が複雑になります。こちらは会計ソフトではなく、給与計算ソフトを使用して対応するとよいでしょう。
源泉所得税の納期は基本的には毎月ですが、給与の支給人数が常時10人未満の場合は、納期の特例を受けることにより年2回にまとめて納付できます。住民税の特別徴収についても同様ですので、実質的には年2回程度の対応で済むかもしれません。
一方、社会保険料の天引き分については、金額が大きくなるためか、年2回のような納期の特例はなく、毎月処理する形になります。
いずれにしても、従業員から代理徴収した分は個人の税金を預かっているだけですので、法人税とは別に考える必要があります。