個人事業で納める税金の種類
サラリーマンと同じように、個人事業主も所得税や住民税、あるいは社会保険関連の税金を納めることになります。サラリーマンは「給与所得」であるのに対し、個人事業主は「事業所得」である点に違いはありますが、所得の種類は違うものの、どちらも納税の義務が個人にある点では同じです。
けれども、事業税の「個人事業税」や消費者から預かった「消費税」も納めることになるのが通常の会社員とは違う点になります。
■所得税と住民税
■社会保険
- 国民年金保険料: 年間約19万円 (一括:4月頃、分割:毎月払い)
- 国民健康保険料: 比較的大きな金額 (一括:6月頃、分割:年10回)
- 介護保険料: 40歳以上が対象 (国民健康保険料と一緒に納付)
■その他
- 個人事業税: 都道府県税。概ね5%程度 (8月と11月の2回払い)
- 消費税: 課税売上1,000万円以下の場合は免除 (3月31日まで)
- 事業所税: 規模の大きな事業所のみ。市区町村の税
- 復興特別所得税: 所得税と併せて納付。金額的にはわずか。
全ての税金を一括で納める場合、時期的には3月~6月あたりまでは負担が重くなると思います。特に、初年度には予定納税の分で負担が大きくなりがちですので注意しましょう。
所得税と予定納税、住民税
所得税は3月頃の確定申告の後に払いますが、その後、予定納税を6月と11月あたりに2回に分けて行います。この予定納税は、次年度分の所得税をあらかじめ払うものですが、予定納税基準額が15万円以上の場合は納める必要があります。ニュアンス的には、サラリーマンの源泉徴収と同じような意味になります。
ですので、翌年度、もし税金を多く納めていた場合には確定申告をすることで還付金として返ってきますが、初年度の確定申告では前年んの予定納税がない分、かなり負担が大きくなりますので注意しておきましょう。
一方、住民税については後払いの税金と言われており、確定申告後、すでに確定した所得に対して課税されてきますので予定納税はありません。
国民健康保険料と国民年金保険料
何気に重い負担となるのが社会保険ですが、特に国民健康保険料は要注意です。
国民健康保険料については、平成25年に「住民税方式」から「旧ただしがき方式」へと1本化されておりますので、控除できる部分がかなり少なくなってます。所得税や住民税とは違い、もろもろの節税対策をして所得控除額を増やしても、国民健康保険料についてはあまり効き目がありません。
市区町村やにもよりますが、600万円程度の所得規模があれば、簡単に保険料の上限まで達しますので、年間で70万円~89万円前後の保険料がかかってくることが多いです。
(※介護保険料の対象かどうかによって金額が異なります。)
一方、国民年金については、一律で年間19万円程度(月額16,410円:令和元年)のため、それほどの負担にはなりません。収入に応じて金額が増えるサラリーマンの厚生年金とは違い、基礎部分だけで済むので負担は軽い傾向にあります。
その分、将来への不安が出てくるかと思いますので、別途に国民年金基金などにも加入しておくとよいでしょう。
個人事業税と消費税
個人事業税は業種により税率が違いますが、前年の所得金額から事業主控除などを差し引いた金額に対して5%程度の税金が発生してきます。こちらは都道府県税になり、8月と11月の2回払いで請求されてきます。
この個人事業税については経費に計上できる税金になりますので、忘れずに計上しておくとよいでしょう。
一方、個人事業税と似たような税目に事業所税がありますが、こちらは市区町村の税金になります。従業員100人以上とか、事業所の床面積の合計が1,000平方メートルを超える事業などにかかってきますが、一般的な個人事業主は該当しないはずです。
個人事業税が「都道府県民税」に対し、事業所税が「市区町村税」になりますので、どちらも事業税ではありますが、市区町村に個人事業税の納税証明書の発行を依頼してもデータはないはずです。似たような税金ですので、混同しないようにしましょう。
また、消費税につきましては、前々年の課税対象の売上が1,000万円を超えた場合に発生しますが、新規開業した年とその翌年を基準にした前々年は開業していないため売上自体がありません。そのため、原則として納税が免除されますが、特定期間などの例外があるためチェックしておくとよいでしょう。
もし課税売上で1,000万円を達成しそうになった際には法人成りを検討されるとよいかもしれません。ただし、課税対象にはならない取引がありますので、「売上で1,000万円」ではなく、「課税対象の売上で1,000万円」という点に注意しましょう。