法人成り後の社会保険の加入について

個人事業から法人成りすると会社の社会保険に加入する必要があります。この社会保険は「健康保険と年金」の部分になりますが、事業主である役員も強制加入になります。

一方、労働保険もありますが、こちらは「労災保険と雇用保険」で成り立っています。この労働保険は、主に使用される側の従業員(労働者)に対する保障となるため、使用者側である役員のみの会社の場合は強制加入にはあたりません。

そのため、個人事業から一人で法人成りをした場合、健康保険と厚生年金の「社会保険」の部分は強制加入にはなりますが、「労働保険」については加入する必要がないことになります。むしろ、役員が労働保険に加入しようとしても、使用人兼役員といった形でない限り加入できないのが一般的です。

個人事業から法人成りした際、まずは「国民健康保険+国民年金」から「会社の健康保険+厚生年金」へと切り替えるようにしましょう。

  • 国民健康保険 → 会社の健康保険(協会けんぽなど)へ
  • 国民年金 → 厚生年金へ

この会社の社会保険へ切り替えた後、会社負担分も含めた「健康保険+厚生年金」に加え、子ども・子育て拠出金も合算された納付書が毎月到着することになります。

社会保険 納付書

納付書には納付番号などが記載されているため、インターネットバンキングのPay-easyなどを利用して記載されている納期限までに納付されるとよいでしょう。

ちなみに、個人事業にて上乗せの国民年金基金にも加入していた場合、こちらは国民年金とセットのため、法人成りで会社員になった場合は加入資格を喪失し脱退する必要があります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)とは?

大まかな健康保険の種類には以下のものがあります。

健康保険の種類

  • 大企業 → 健保組合
  • 中小・零細企業 → 協会けんぽ
  • 公務員 → 共済組合
  • 個人事業主・無職 → 国民健康保険
  • その他 → 後期高齢者医療制度など

大企業の会社員の場合、会社が自前で運営している健康保険組合(健保組合)に加入するケースが多いですが、この健保組合を設立するには被保険者数が常時700人以上などの条件による制約があります。そのため、一人で法人成りした場合、この自前での健保組合は設立することができません。

そのため、一人会社で法人成りした場合、一般的には協会が運営している全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入することになります。この協会けんぽついては、以前までは国の運営による「政府管掌健康保険」でしたが、平成20年に新たに全国健康保険協会が設立され、協会運営に移行されました。

協会けんぽに加入するとこのような健康保険証をもらえます。

協会けんぽ 保険証

事業所名称の箇所に自分の会社名が入り、番号の1番は創業者や会社の代表が割当てられます。他にも社員がいれば、2番、3番…といった順序で発行されていくことになります。

「新規適用届」を日本年金機構へ提出

会社が社会保険に加入する際、手続きをする場所は年金事務所になります。
新規適用の手続き

「健康保険」と「厚生年金保険」の新規適用届になりますが、協会けんぽではなく、日本年金機構へ書類を提出するようにしましょう。当サイト運営者の場合、協会けんぽに何かを提出するということはありませんでした。

こちらの提出時期は「事実発生から5日以内」となっていますが、当サイト運営者は会社設立から半年以上が経過した時点で加入しても特に何も言われず、会社設立時に遡ってということはありませんでした。ただし、最近は厚生年金の加入逃れへの指導が強化されているため、はやめに手続きされることをおすすめします。

注意する点は、厚生年金は「新規適用届」を出せば年金事務所の方で勝手にやってくれますが、健康保険については協会けんぽなどに切り替えたのち、自分で国民健康保険から脱退しなくてはいけません。国保の資格がなくなった状態で保険証を使用すると医療費の返還になる可能性もあるため、お住まいの区役所などで脱退手続きを必ずするようにしましょう。

健康保険証が到着するまでの時間

協会けんぽに加入する場合、この健康保険証が到着するまでに時間がかかってしまうことがあります。だいたい2週間程度といわれていますが、4月などの新入社員が加入する時期は混み合うこともあり、保険証が手元に届くまでに3週間以上かかる場合もあります。

当サイト運営者の場合、4月1日に申請して4月25日の交付となりましたが、実際に到着したのが4月27日でしたので、27日間ぐらいの間、歯が痛いのを我慢して過ごすことになってしまいました。

そのため、新規適用の届け出と同時に、保険証が到着するまで一時的に使用できる「健康保険被保険者資格証明書」も発行してもらうことをおすすめします。こちらも即日交付というわけではありませんが、数日程度で発行してもらえますので、新しい保険証が到着するまではそちらを使用されるとよいでしょう。