個人事業主とサラリーマンの「経費」の違い

個人事業主とサラリーマンでは「経費」の意味に違いがあります。

例えば、取引先との接待で「経費で飲みに行く」となった場合、サラリーマンの場合は会社のお金で飲みに行くので自己負担はないですが、個人事業主の場合は事業主個人のお金で飲みに行くことになります。

個人事業主の場合、その費用は交際費として事業の経費にできますので、最終的には税金が少し安くはなりますが、そもそも自腹を切って出費した上での経費となるため、会社から実費をまるまる支給されるサラリーマンの経費とは意味合いが違ってきます。

会社員の感覚からすると「経費で落ちる」というのは、自己負担はなく会社のお金でタダで飲みに行けることを意味しますが、個人事業主の場合は事業主個人がある程度の金額を負担していることになります。

例えば、個人事業主が接待交際費で1万円を使った場合、誰かがその経費を清算してくれるわけではありません。仮に税率を3割とすると税金が3千円分安くはなりますが、出費する時点で1万円を使っているので、「1万円-3千円」の7千円分は事業主個人が負担していることになります。

一方、会社員の場合は経費の精算で1万円がまるまる返ってきますので、会社員個人の負担は0円です。

「経費で落ちる」の違い

サラリーマン:会社で全額負担、個人の負担はなし
個人事業主:事業主個人の負担あり

もし接待された場合、その相手が会社員の場合だと会社から費用が出ていることになり、その会社員個人に負担はありませんが、相手が個人事業主の場合はその事業主個人が費用を負担していることになります。

サラリーマンの「経費」の二つの意味

会社員の場合、交際費などの事業に必要な経費を出すのは会社なので、そのお金は株主や法人が負担することになり、経費を従業員が負担することはありません。たとえ会社の経費がかかりすぎて赤字になったとしても、従業員の給与が支払われないということはまずないです。

そもそも従業員の給与自体も「人件費」という経費になりますので、経費から経費が引かれるとおかしなことになってしまいます。

ただし、サラリーマンは何も経費にできないのかというとそうではなく、会社に自分の労働力を売って給与所得を得るためのスーツやカバンなどの費用は経費に計上することができ、これは給与所得控除として誰でも計上されています。

サラリーマンの経費の2種類

事業の経費:会社が負担
働く上での経費:給与所得控除で計上

この給与所得控除は領収書不要で収入に応じて一律で経費に計上されるため、実際には何も経費がかかっていなくても無条件で計上されています。年収によっては数百万円程度は計上されていますので、ある意味で個人事業主よりも優遇されているともいえます。

自営業の場合、領収書さえあれば何でも経費にできるという風潮があり、サラリーマンの感覚からすると実質的にタダで物を買っているイメージもありがちですが、実際には事業にかかったものしか経費にはできませんし、何より出費する時点で自腹を切ることになります。

「経費にできる」といっても、個人事業の場合にはある程度の負担が発生することになるので注意が必要です。