年末調整を行う際、給与所得者に書いてもらい、あらかじめ提出してもらう書類が2種類あります。年末調整の際には次の書類の提出が要件となってますので、必ず提出してもらうようにしましょう。
■給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
→「生命保険料」などの控除額を記述してもらいます。
■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
→「扶養控除」で必要になります。これを元に来年1月からの「源泉徴収」に使用します。今年の年末調整の扶養控除については、去年に提出してもらった申告書を参考に変更がないかを確認します。
これらの書類を元に「生命保険料」や「扶養控除」などの控除額を確認して年末調整をしていきますが、書類は会社で保存しておく必要があるものの、役所へ提出する必要はありません。様式は国税庁にPDFがありますので、手元にない場合はプリントアウトして使用するとよいでしょう。
〜 年度が違うのはなぜ? 〜
このふたつの書類については年度が違っています。
これは「生命保険料控除」などについては配布された年の年末調整で使用するものであるのに対し、「扶養控除」は翌年度の最初の給与の源泉徴収の際に使用するものだからです。
源泉徴収で天引きする税額を調べる際、「源泉徴収税額表」を見ながら金額を割り出しますが、扶養人数がわからないと源泉徴収すべき金額が割り出せないため、扶養控除等(異動)申告書は前年のうちにあらかじめ提出することになります。
例えば、現在が平成27年の10月だった場合、「保険料控除」については、その年の平成27年分の年末調整の際に使用するものなので平成27年度になっています。
一方、「扶養控除申請書」については平成28年分となっていますが、これは翌28年1月の給与の源泉徴収から使用されるものなので来年分のものです。つまり、来年の扶養控除の「予定」を記載することになります。
ちなみに、今年の年末調整の扶養控除に使用するものは、「去年の年末に記載してもらった平成27年分の申告書」を元に適用していきます。
この扶養控除申請書については、一般的には昨年書いてもらった分も合わせて二枚配布し、訂正があった場合には修正してもらい、「本年分の結果」と「翌年分の予定」のふたつを提出してもらうケースが多いと思います。このあたりは会社によって違うかもしれません。
〜 マイナンバーの記載 〜
「保険料控除申請書」にはマイナンバー(個人番号)を記載する箇所がありませんが、「マイナンバーの記載を要しない」とされており、記入する必要はありません。
一方、「扶養控除等(異動)申請書」には記載する箇所がありますが、こちらには記載する必要があります。ただし、前年にすでに会社側にマイナンバー記載の扶養控除等申告書などの書類が提出されており、帳簿を備えている場合には「マイナンバーの記載を要しない」とされています。
「扶養控除等(異動)申請書」については、1回は必ず記載してもらう必要があるものの、条件を満たせば、2回目の場合は記載を省略できるケースもあります。
源泉徴収する際、徴収金額を「源泉徴収税額表」にて確認しますが、これには「甲」と「乙」、または「丙」などの記載があります。
これらの違いについては、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した「主たる給与の支払い者である会社」が従業員に「甲」を適用することになります。
一方、ダブルワークなどでアルバイトも掛け持ちしている場合、正社員の給与が主であり、アルバイトの方が従になりますので、従の方のアルバイト先では「乙」が適用されます。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出できるのは1か所だけですので、これを提出した先からもらう源泉徴収票には「甲欄」が適用されているはずです。
この「甲」と「乙」では天引きされる源泉徴収税に違いがあり、一般的には乙の方が高めになりますが、確定申告をすることで払いすぎた分は返ってきます。なので、最終的な税額自体には変わりありません。
イメージでいえば、本業のメインの方が「甲」で、そちらでは扶養人数をあらかじめ確認して源泉徴収税額を割り出すなど詳細な作業が必要なのに対し、アルバイトのサブの方が「乙」でおおざっぱに処理をするイメージです。
ただし、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を出し忘れなどで提出しなかった場合、主たる給与の支払いの方でも乙で処理されることがありますので注意しましょう。
ちなみに、「丙」というのもありますが、こちらは日雇いや短期アルバイトなどで給与を支払う場合に使い日額表だけにあります。
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