個人事業で開業しよう

法人口座の作り方

法人を設立して最初につまづくのは法人口座の開設かと思います。反社会的勢力による詐欺が多発しているなか、簡単には作れないようになってきました。

この法人口座には主に以下の5種類がありますが、口座開設の難易度にも違いがあります。

都市銀行、メガバンク

まず大手の都市銀行で作るのはあきらめた方がよいです。おそらくは開設できないと思いますが、資本金や売上規模が大きく、オフィスや事業内容もきちんとしていれば、もしかすると作れるかもしれません。

地方銀行

地銀の銀行員である兄の話によると、新設法人については融資はもちろん、口座の開設についても難しいケースが多いみたいです。身なりやカバン、言葉遣い、名刺など、そのあたりがきちんとしていたら新設法人でもポイントが高いといってました。

信用金庫 ☆☆

信用金庫については、都銀や地銀よりも零細企業に優しい傾向があります。ただし、一般的な銀行よりも少し利用しづらいかもしれません。

ネット銀行 ☆☆☆☆☆

そのため、新設法人におすすめなのはネット銀行、もしくはゆうちょ銀行になりますが、以下のような基準で選択されるとよいでしょう。

当サイト運営者の場合、振込などの支払手数料はせいぜい年間3万円程度ですが、個人口座の方も考えると年間5万円程度はかかっています。5年、10年単位で考えるとある程度の出費にはなるため、慎重に選択されるとよいでしょう。

法人口座のおすすめネット銀行を比較

はじめて法人口座を開設する際、以下のネット銀行がおすすめです。

法人向けネット銀行

役員の個人口座では違う銀行を利用している場合、役員報酬の振り込みの際に他行扱いで手数料が高くなってしまうため、役員の方でも同じ銀行で個人口座も開設しておくことをおすすめします。

上記のうち、まずは「住信SBIネット銀行」や「PayPay銀行」がおすすめです。

住信SBIネット銀行

当サイト運営者が法人成りをした際、住信SBIネット銀行については他の銀行で既に法人口座を開設している必要がありましたが、現在ではそのような条件はなくなっています。以前よりも新設法人での口座開設がしやすくなっているため、第一候補として検討されてみることをおすすめします。

また、最近ではSBIの「地銀連合構想」が話題になっていますが、第4のメガバンクとして注目されている銀行でもあります。今後、ネット銀行のなかでは外せない一行になるかと思いますので、まずはこちらで口座を開設しておくとよいでしょう。

そのほか、法人口座の利用実績に基づいて借入条件を毎月お知らせする「事業性融資 (dayta)」のサービスがあります。決算書などの書類や面談の必要がないため、運転資金の借り入れにかかる手間を省くことができます。事業性融資の面でも利便性が高いため、まずは住信SBIネット銀行を検討されるとよいでしょう。

PayPay銀行

当サイト運営者は固定電話なし、資本金も少額の状態にて、PayPay銀行で最初の法人口座を開設することができました。当時はジャパンネット銀行の名称でしたが、2021年4月にPayPay銀行に生まれ変わっています。

PayPay銀行はデビットカードでの経費の支払いがしやすくて便利です。当サイト運営者の場合、ドメインやサーバーの更新などで年間500回程度の決済をしていますが、なかには海外サイトなどでカード番号の入力に抵抗のあるケースもあります。

そのような際、PayPay銀行なら「カードレスVisaデビット」で番号だけを発行してもらえるため、新規発行や利用停止などをネット上で簡単に済ませることができます。ネット上でのカード決済が多い場合、PayPay銀行を利用されるとよいでしょう。

楽天銀行

当サイト運営者の場合、個人事業では楽天銀行のビジネス口座での利用実績がありましたので、楽天銀行なら事業実態を把握してもらえるものと安易に考えていました。

また、役員報酬の振込先も同じ銀行でないと他行扱いで手数料が高くなってしまうため、プライベートでも利用しやすいネット銀行を考えると楽天銀行が第一候補になりました。

けれども、個人事業で実績のある場合でも、法人口座の開設の際には貴社名義の他行口座である「本人名義他行口座」が必要とのことで開設できませんでした。

つまり、まずは他の銀行で法人口座を作ってからでないと申込ができなかっため、思った以上にハードルが高かったです。そのため、最初にPayPay銀行に申し込んだのですが、それを元に楽天銀行でも法人口座を開設することができました。ただ、現在でも上記のような他行口座が必要かどうかは不明です。

ちなみに、法人口座を開設する際には、co.jpドメインでホームページを作っておくと審査にも通りやすいかと思います。当面はこれらのネット銀行でしのぎ、軌道にのって売上規模が増えてきてから、資本金を増資するなどして、大手都市銀行や地方銀行で法人口座を開設されることをおすすめします。

社会保険料を納付しやすい法人口座が便利

「源泉所得税」や「住民税」の特別徴収の納付については、納期の特例の申請により半年に一回に済ませることができるため、それほどの手間はかかりません。また「法人税」の納付についても年1〜2回程度です。

年間1〜2回程度

これらはそもそも納付の回数自体が少ないですし、国税も地方税もネットからの電子納付に対応しているため、それほどの手間はかからないかと思います。

けれども、「社会保険料の納付」は毎月納める必要があります。

これを銀行の窓口まで毎月払いに行くとなると面倒で仕方がないため、社保については法人口座から自動で引き落としてもらうのが便利ですが、都市銀行や地方銀行では対応してはいるものの、ほとんどのネット銀行ではこの口座自動引き落としには対応していません。

そのため、ネット銀行では口座からの自動引き落としではなく、代替としてPay-easy(ペイジー)を使い、振込用紙がきたら毎月ネット上から納付するのが一番便利です。

・都市銀行、地方銀行 → 自動引落に対応 → 口座開設が困難 → ×
・ネット銀行 → 自動引落には未対応 → 口座開設は簡単 → Pay-easyで対応

法人での申告や納付の手続きは、e-TaxやeLTAX、e-Govを利用することで全てネットのみで完結しますが、このPay-easyに対応しているかどうかがポイントになります。

Pay-easy(ペイジー)とは?

このPay-easyで社会保険料を納付するには、振込用紙に記載されている収納機関の番号などをネットバンキングのPay-easy画面から入力します。

PayPay銀行での例

社会保険の場合、厚生労働省年金局の「00500」ですが、用紙に記載されている番号を確認して入力しましょう。

ほか、納付書に記載されている「納付番号」や「確認番号」を入力します。

すると、会社名や金額が表示されますので、それらの表示を確認し、あとはそのまま口座から保険料を引き落とします。

せいぜい2〜3分で済みますので、それほどの手間はかかりません。

このPay-easyでの社会保険料の納付については、今まではPayPay銀行あたりしか対応してませんでしたが、2016年11月21日からは楽天銀行でも「歳入代理店」の承認を受け、社会保険料や源泉所得税、法人税などの国税の納付もできるようになっています。

楽天銀行での例

このPay-easyについては、社会保険料のほか、e-TaxやeLTAXから源泉所得税などの納付する際にも便利です。できるだけ、Pay-easyに対応したネット銀行を選択されるとよいでしょう。


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